昨日開催されたW杯最終予選 対イラク戦
結果は1−1の引き分け
トレーナーの観点から、試合を見て感じたことは「環境(暑熱)順化は十分できていたのだろうか?」ということ。
開催されたテヘランPASスタジアムの気温は37.4℃、湿度20%
コンディショニングで考えるべきは、まずはこの暑い環境の中でベストパフォーマンスを発揮するにはどのように準備をすればよいか?
日本代表の試合までのスケジュールを追うと
7日 キリンチャレンジカップ 対シリア戦
9日 テヘラン入り
13日 対イラク戦
このスケジュールから、身体が暑さに慣れるための期間として準備されたのは4日ということになる。
日本代表の先発メンバーを見ると7名がヨーロッパ組
涼しい環境でシーズンを終えたばかりの選手が、37度という暑さの中で90分間試合をする状態に適応ができていたかが今回気になった。
そこで、どのようなメカニズムで環境順化が起こるのか調べたので、簡単にまとめると
・43℃の高温下で90分トレーニングを8日行なった結果、発汗量の増加が見られた。
・暑熱下運動を10日行なった結果、汗ナトリウムイオン濃度の低下が見られた
・血液量の増加は最大酸素摂取量の増加につながるが、血漿量は8日間トレーニングを行なった場合も増加は生じるが、赤血球量は2〜3週間の期間が必要
以上より、今回4日前に現地入りした代表のスケジュールから、身体に起こっている反応を考えると、発汗への順化は起こってはいるが、汗中のナトリウムイオン濃度は高い状況が考えられる。この状態に対して、水分補給を練習時や試合中トレーナーが細かく指示する必要がある。
次に、血液量に対する順化は完全に順応していない可能性が高い。
特に赤血球の対応ができていないため、易疲労の状態で選手はいつものように動けなない、疲れ易い、身体が重い、足が動かない、冷静な判断ができない生理的状態であったことが考えられる。
この状況に対して、日本代表や各選手における諸状況はあったかとは思うが、対シリア戦のことだけを考えると、2週間前には現地入りし環境に適応すべきと考える。